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手仕事ぎゃらりーゆき椿は手仕事・伝統と新しさ・環境にやさしい素材にこだわったインテリアやアクセサリーをセレクトした山形発ウェブショップです。 ゆき椿は雪と土の間でつぼみをふくらませながら雪解けをじっと待ち春のおとずれとともに静かに可憐な花を咲かせます。その姿が東北でものづくりをするひとたちのイメージに重なりました。手仕事のよい品をそろえております。どうぞゆっくりごらんください。

vol.1磁器作家 堤清さん


モノとの出合いも一期一会。

ある日新聞で「白い器展」がある事を知り ギャラリーに足を運んだ。

わたしは備前焼や藍色の染付けや古伊万里の赤などに惹かれるが
普段は白い器をえらぶことが多い。
リチャードジノリやマイセン、ビアンカの洋食器、白山陶器、そして長年使っている地元作家の珈琲カップも白磁器である。
白い器は ほかの器をじゃましないし 同じ白でも微妙な色の違いや質感の異なるものを組み合わせて楽める。


ギャラリーに入ると白と透明色以外なにもない「真白い空間」だった。
そして 作品と目があった瞬間、琴線に触れた。 やわらかさがあり 
器が呼吸をしているような温度を感じた。
デザインも無駄がない。
重くなく扱いやすそうな 深めの大皿をひとつ選んだ。

モノとの出会いも 人との出会と同じ、一期一会である。

シンプルなその白い器は ほんとに大切なものを知り自然の中にとけ込んで存在しているかのようにみえた。
枠にはまった息苦しさがないのに 
ちょっと かっこいい自分の主張がある器。
あったかいのに 野暮ったさのない器 。

作品を通して感じたものは堤さんの感性と人柄そのものだったような気がする。

6月遠野の工房へ。蜂蜜をたべにくる熊。

念願かなって 遠野の工房へおじゃますることに!ある年の初夏 山形から3時間、車を走らせた。
途中 北上のお気に入りのロシアン料理店でボルシチとロシアンティーの昼食をとり道中の山に咲くアザミを摘んだり 小さな寄り道をしながら堤さんの工房へ向かった。
天気もよく 楽しいドライブの旅になったが 近くまで行き 迷子になってしまった。

なんと携帯電話は不通地帯。民家を探し電話をお借りして堤さんに連絡すると 勢いよく赤いワーゲンで迎えにきてきれた。 「家のトイレはすごいから道の駅で済ませた方がいい」といわれ 一度もどり用をすませ遠野の畑広がる風景のなか 堤さんの車から流れるjazzとともに工房目指した。

途端 堤さんが車からおりて走ってくる。「な、なにごと?」と思うと 「今自転車で通ったおじいさんが この川原の草刈りを(自主的に)全部一人でしている」との説明。工房へ行くまでの間 二度ほど自分の車を横付けし、わざわざ私の車まで走ってきて この地域の事について話をしてくれた。

工房へ着くなり 裏に案内され 数日前、蜂の巣の蜂蜜を狙った熊が 山から下りてきて がりがりと爪で壊した壁の傷跡をみせてもらう。

キツツキが家をつつきに来る話や 先日の台風で飛ばされた屋根の残骸など なまなましい跡を残した「自然と戦いながらの山暮らしエピソード」は期待以上にすごかった。

ノスタルジックな空間。
初夏のどくだみの白い花とジャズでもてなしていただく。


工房兼住まいはとても大きな曲がり屋。明治28年頃の建物だという。
奥様に案内され中にはいると 映画や雑誌の撮影のために創られたようなノスタルジックな趣のあるお部屋だった。展示会の白い空間とは別に 今度は濃茶色と白のコントラストがとてもすてきだ。アンティークなテーブルや椅子、箪笥 珈琲の豆引き。こだわりの調度品が さりげなく日常にとけ込んでいる。

おくさまが 庭で摘んだ「どくだみの白い花」とJazzの音楽。
さりげなさのなかのあたたかいおもてなしがとてもうれしい。
堤さんの作品でいただいた 一服の珈琲がとてもおいしかった。

おしゃべりが止まらない堤さん夫妻 聞く方も飽きない絶妙な夫婦漫才が続くなか 少しづつ写真を撮らせてもらった。

「端の文化がおもしろい」

端(はじ)にはおもしろい人がいる。と夫妻はいう。
日本列島の南端と北端のことである。
九州や青森でであったエピソードを話してくれた。

東京暮しが長いが 堤さんは 鹿児島の産まれ。愛知芸術大学彫刻科卒し表具師に師事。また沖縄芸術大学で日本画科講師として表装を教えながら陶芸家に師事し阿蘇に築窯したがその後 九州から東北へ移住。 5年ほど東北で家探しをし 北端の青森弘前で暮らしたいという希望かなわなかったものの 2002年ようやくこの遠野に決めたという。

 スローライフという言葉とともに 田舎暮らしにあこがれる人たちも増える昨今だが 雪深い東北の山中での暮らしは 想像以上にきついもの。

まして 岩手県の寒さは東北一である。ここに来る前に住んでいた沖縄とは45度ほどの気温の差があるここ遠野。雪かき作業の事だけとっても半端な仕事ではない。今年3回目の冬を迎えようとしている堤さん夫妻に対し 大家さんも『ここまでもつとは思わなかった』と驚いているという。

薪を割って 風呂を焚く生活。買い物も大変。堤さんが好きな天然酵母のワインパンも買出しの時まとめて買う。こんなに自然多い中にいながら オーガニックにこだわるスーパーなどが少なく 逆に安全なものが手にはいりにくいという不満も。食にもこだわりがある二人の話にも興味はつきない。

遠野についての印象を聞くと「何も無く 一番おもしろくないところだと 思っていたが第一印象とまったくかわらない」と奥様。あ~ 最期まで 閉ざされた東北への魅力だとか 遠野のへの思いなどどいう美しいおちにはならないところが堤さん夫妻だ。

 でも夏に食べようとおもって植えたという裏庭のへちまの芽がでた畑に案内してくれた堤さんは 子供のようにうれしそうにぴょんぴょん走っていた。


自分達のポリシーに忠実に生きる堤夫妻。
お二人はその暮らしのなかに 自分達なりの小さな幸せをいっぱいみつけて楽しんでる姿がとてもすてきで そしてうらやましく思いました。


*遠野の工房探訪!堤さんの暮らしやコメントがご覧になれます。クリック>>

想像以上に珈琲がおいしく感じる器。
ぜひ試してほしいです。
安定感 とっ手のもちやすさもよい。
緑が映える堤さんの作品。
堤さんの出身鹿児島は塩文化。
奥さんは関東たれ文化。
今日のゴーヤチャンプルは塩味に隠し味の
醤油と鳥出し汁を少々。
酢を入れないで漬ける
沖縄風らっきょ。
和食もかっこよく盛り付けられる。

堤さんの作品がお買い物できます

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